松浦俊介Top「コラム」ダイジェスト>平成15年12月17日(水)

自衛隊は七人の侍?



自衛隊がイラクに派遣されることが決まった。
イラクのサマワという所に陸上自衛隊が派遣され、
復興支援、人道支援活動をするという。

決して戦争、戦闘しに行くのではなく、
医療活動や水の補給・衛生面の整備、
学校・道路補修などのインフラの整備をするんだと思う。

そうした活動中にテロにあったりしたら、
正当防衛射撃をする。

イラク問題は考えれば考えるほどわかんなくなる。
なんたって戦争を始めた理由が崩壊しているだから。

だいたい、戦争というのは宣戦布告をして始まり、
講和条約などを結んで終結する。
日清戦争なら下関条約、日露戦争ならポーツマス条約、
太平洋戦争はポツダム宣言受託、
ベトナム戦争ならベトナム和平協定などなど・・

アフガニスタンもそうだが、相手の政権を崩壊させ、
国の体制まで維持できなくなるまで
敵の国を追い詰める戦争なんてありか?

フセインは捕まった。だけどイラク戦争は終わっていない。
5月にアメリカは戦闘終結宣言はしたが、
戦争が終わったとは言っていない。

アフガニスタンだって戦争は終結していない。
現に海上自衛隊はまだインド洋に派遣されているし、
アフガニスタンで捕らえられた
アルカイダの捕虜はいまだにキューバの
グアンタナモ米軍基地に収容されている。
国際法では戦争が終わったら捕虜を解放しなければならない。
アフガニスタンは一応カルザイ大統領がいて
暫定政権が発足している。

そんな戦争中のイラクに自衛隊は人道支援に行く。
イラクの人が困っていることは間違いないのだから、
助けに行くのはいいことだし、
それ以前に、日本はアメリカの仕掛けた戦争に賛成してしまったのだから、
イラクの復興支援をするのは当然の責任とも思う。

しかし、イラクにはいろんな人がいる。
こちらは人道支援で行っても、
幕末の尊皇攘夷ではないが、
レジスタンス活動として自衛隊が狙われる可能性は高いし、
多分攻撃を受けるだろう。

彼らの価値観では正義は自分にあり、自分たちの活動を
国を護るレジスタンス活動だと思っているだろう。

黒澤明監督の「七人の侍」で自衛隊が村を護る「七人の侍」側で
テロリストが村を襲う野武士側ならいいのだが、
一部のイラク人にしてみたら、日本の自衛隊が野武士であり、
自分たちが「七人の侍」だと思っているだろう。

少なくともアメリカ軍はイラクの石油を奪いに来た
野武士であることは間違いない。


私が思うのは、
自衛隊員がテロに遭って亡くなった場合、
日本人は当然として、
サマワの人達は、亡くなった自衛隊員を
子々孫々まで忘れてほしくない。

また日本人は、自衛隊員が殺されることは
当然だが、自衛隊員によって殺される
イラク人が出ることも十分認識しておいたほうがいい。

日本人外交官が殺されたんだから、
自衛隊員が殺されたって不思議ではない。
そういう意味では、すでに日本人には
不幸にして自衛隊員が亡くなっても
免疫が出来ているかもしれない。

しかし、自衛隊員が外国人を殺す免疫は
今の日本人にあるだろうか。
日本近海の工作船を攻撃するのとは
ぜんぜん次元が違うと思う。

外国に行ってその国の人を日本の自衛隊が殺せば、
この事実は歴史的に見ても大変重いことだと思う。
自分がイラクに派遣された自衛隊員で
イラク人に攻撃されたとき、果たして
引き金を引けるか?

日本でなら引ける。
自衛隊員でなくとも、海岸で誰かが拉致されそうになっていたら、
何とかして助けてあげたいと思うし、
そういうことが出来る人間でありたいと思う。

でも彼らの国で彼らを撃つ理由は
日本の自衛隊にあるのか?
もし自衛隊員がイラク人を殺したら、
その自衛隊員は重い十字架を一生背負うことになるだろうし、
その十字架は小泉さんを筆頭に
全ての日本人で背負わなければならない。



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