松浦俊介Top「コラム」ダイジェスト>平成16年4月19日(月)

高遠さんのことば



イラクの人質事件が連日報道されている。
一連の報道で必ず出てくる話が、「自己責任」について。

この問題を複雑にしたのは、拘束された際の武装勢力側の解放要求が
自衛隊の撤退を条件に挙げたことだろう。
これにより被害者家族が自衛隊撤退を政府に要求したため、
猛烈なバッシング、ひんしゅくをかい、
人質への責任問題がクローズアップされていく。

政治家や評論家の中から、冬山に遭難した登山者と同じように
事件解決にかかった費用の一部負担を求める意見もある。

今回の人質解放時のアルジャジーラの映像で高遠菜穂子さんが、
「今後もイラクで活動を続けたい。いろいろひどいこともされたけど、イラクの子ども達のことを嫌いにはなれない」
みたいな発言をした。

それを受けて小泉首相もブチ切れた。
「多くの人が寝食を忘れて救出活動をしたのに、そういうことを言うんですかねぇ」
というようなことを述べた。

私も高遠さんの発言を聞いて「よくもまぁ、そんなことが言えるもんだ」と思った。

しかしながら、その後、アルジャジーラではなく日本テレビの
人質解放時の映像を見た。

今回、モスクで解放されたとき、クベイシ師と一緒に日本テレビのスタッフで
日本語の話せるイラク人が同行していた。
高遠さんに今後どうしたいか質問したのは、
この日本テレビのイラク人スタッフのようだ。

そしてこのイラク人が、高遠さんの発言を聞いて
、目に涙を浮かべてハンカチでぬぐっている映像が流れた。

日本人の立場からすれば、
「退避勧告が何度も出ていて、危険であることは十分認識できたのに、世界中に迷惑をかけて何を寝ぼけたことを言っているんだ」
というような印象を受ける高遠さんの発言だが、
イラク人からすれば、
「戦闘が続く、危険なイラクへ単身女性でのりこみ、善意でイラクの子ども達の支援活動をしていた。武装勢力に狙われ、拘束され銃やナイフを突きつけられ、絶体絶命の恐怖にさらされた。にも関わらず、イラクの子ども達のために今後も活動を続けたい。そこまでイラクのことを想ってくれているのか」
という話で、立場によって受け止め方が180度違う。

高遠さんらは、解放時、日本が大変なことになっていることはもちろん、
自衛隊の撤退を武装勢力が求めていることも知らなかったように思う。

知っていたら、このような発言を出ないだろう。
私はイラク戦争には開戦前から反対だが、
小泉さんが開戦直後にアメリカの支持をしてしまった以上、
イラク復興への日本の責任は大変重いと思っている。

そこで自衛隊なわけだが、人道支援活動といえども、
迷彩服と防弾チョッキに銃を持った自衛隊員と、
死の恐怖を経験しながらも
イラクの子ども達の為の活動をしたいと思った高遠さん。

別に国の政策と個人の想いを同列に扱おうとは思わないが、
例えば、今回の人質事件も含め高遠さんのこれまでの
ドキュメンタリー番組でも作ってアルジャジーラでも
イラクのテレビ局にでも放送した方が、
サマワという限定的な所で活動している自衛隊員より、
イラク人の心をつかむかもしれないし、
イラク人における日本の評価はアップするじゃんないかとも思わなくもない。

彼女らに事件解決への費用請求したり、批判、
糾弾なんかしてもイラクの為にはならない。

イラク国民へ日本の復興支援活動のことを理解してもらうことの工夫を
もっと考えたほうがいい。

その方がこうした日本人を狙った事件への減少につながっていくように思う。

NGOはともかく、ジャーナリストまで
「危険だからイラクへ行くな」なんて無理だ。
戦闘状態だからジャーナリストは行くんだから。
ジャーナリストが戦地で亡くなることは珍しいことではない
。当然死ぬ覚悟で行っているだろう。
ジャーナリストがいなくなったら、大本営発表だけになる。



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