竹田共生塾があり8月9日起きた 福井県の美浜原発の事故について検証した。
この事故については、配管破裂が 点検不備で減肉磨耗によりおき、 国内原発最悪の死者5人というところにクローズアップ されている。
しかし、この事故には5人の方が亡くなるという悲惨な 側面の陰に5人の死亡事故で済ませた原発職員の 冷静かつ迅速な対応があった。
8月9日15:22に事故が起きた。 30個以上の火災報知器が一斉に鳴ったという。
職員は中央制御室にいるが、事故が起きたのは タービン建屋と離れた位置だった。
事故直後に当直課長の指示で職員の一人が現場の タービン建屋に防護服を着て急行した。
普通なら歩いて往復10分くらいかかるところを 現場を確認して往復3分で帰ってきた。
白煙が充満しているとの報告で当直課長は、 事故後3分で原子炉を止めるための作業に入る。
その後、細かいことは省くが 普通だったら1ヶ月くらいかけてやる 炉心を止める作業を4時間でやってしまう。
非常に危険な綱渡りのような作業を 見事にやり遂げた。
ちょっとでも判断が遅れたり、 手順を間違えたり、システムがうまく作動しないような ことが起きたら、数十万人が亡くなる事故に なるところだった。
原発は、ウランを核分裂させるという非常に危険で やっかいな物質を燃やしている。 耳掻き一杯のウランで百数十家分の風呂を沸かすことができる。
そしてシステムも複雑なため、火力や水力発電のように 1日の中で動かしたり止めたり、 その日の電力需要に応じて電気を発電する出力調整ができない。
1回火を入れれば、 1年後のメンテナンスまで110万キロワットフルパワー発電である。 その後1ヶ月掛けてゆっくり慎重に停止作業をしていくところを 4時間でやってしまったのだ。
点検不備による事故の原因は最大限追究されるべきものであるが、 事故の被害を最小限に食い止めたドラマがそこにあった。
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