松浦俊介Top「コラム」ダイジェスト>平成16年9月17日(金)

美浜原発の炉心冷却作業



竹田共生塾があり8月9日起きた
福井県の美浜原発の事故について検証した。

この事故については、配管破裂が
点検不備で減肉磨耗によりおき、
国内原発最悪の死者5人というところにクローズアップ
されている。

しかし、この事故には5人の方が亡くなるという悲惨な
側面の陰に5人の死亡事故で済ませた原発職員の
冷静かつ迅速な対応があった。

8月9日15:22に事故が起きた。
30個以上の火災報知器が一斉に鳴ったという。

職員は中央制御室にいるが、事故が起きたのは
タービン建屋と離れた位置だった。

事故直後に当直課長の指示で職員の一人が現場の
タービン建屋に防護服を着て急行した。

普通なら歩いて往復10分くらいかかるところを
現場を確認して往復3分で帰ってきた。

白煙が充満しているとの報告で当直課長は、
事故後3分で原子炉を止めるための作業に入る。

その後、細かいことは省くが
普通だったら1ヶ月くらいかけてやる
炉心を止める作業を4時間でやってしまう。

非常に危険な綱渡りのような作業を
見事にやり遂げた。

ちょっとでも判断が遅れたり、
手順を間違えたり、システムがうまく作動しないような
ことが起きたら、数十万人が亡くなる事故に
なるところだった。

原発は、ウランを核分裂させるという非常に危険で
やっかいな物質を燃やしている。
耳掻き一杯のウランで百数十家分の風呂を沸かすことができる。

そしてシステムも複雑なため、火力や水力発電のように
1日の中で動かしたり止めたり、
その日の電力需要に応じて電気を発電する出力調整ができない。

1回火を入れれば、
1年後のメンテナンスまで110万キロワットフルパワー発電である。
その後1ヶ月掛けてゆっくり慎重に停止作業をしていくところを
4時間でやってしまったのだ。

点検不備による事故の原因は最大限追究されるべきものであるが、
事故の被害を最小限に食い止めたドラマがそこにあった。



Copyright(C) Matsuura Shunsuke. All Rights Reserved.

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送