松浦俊介Top「コラム」ダイジェスト>平成18年8月15日(火)

「サーキットの中心で行革を叫ぶ」



■2006/08/13 (日) 『K4-GP』

昨日、富士スピードウェイで改造アルトの
走行テストを行った。

データどりをして、不具合がないかチェックした。
大きな問題はなく一安心。

さて、改造アルトのネタを日記にちょくちょく
紹介していたが、
いよいよその全容を明らかにする。

私は、終戦記念日であり、
小泉総理が間違いなく靖國神社に参拝するであろう
8月15日に静岡RCパラシューターというチームで
富士スピードウェイで行われる
『K4-GP』に参戦する。

このグランプリは、軽自動車による10時間耐久レースである。
百数十台の軽自動車が1000kmを競うレースである。

これだけ聞くと、政治とまったく関係のない企画のように
感じると思うが、私たちのチームは、このレースで
行政改革の重要性を訴える。

はて?なんじゃそりゃ?
とお思いだろうが、
私たちのアルトには
「行革なくして完(官)走なし!」というコピーが大きく掲げられ、
走る行政改革広告塔として多くのモータースポーツファンに
その必要性と認識を深めてもらうために啓蒙活動するのである。

このアルトは、スズキ株式会社会長で
浜松市行財政改革推進審議会会長でもあられる
鈴木修会長から提供されたもので、
クルマをこよなく愛し、
今の政治の現状を憂える者達によって
行革仕様ワークスマシンに仕立てられた
アルトなのである。

さらにタイヤは横浜ゴム株式会社から
ネオバというタイヤを提供していただき、
その他さまざまなスポンサー各社のご協力を得ている。

明日は、練習走行があり、
明後日が本戦である。

富士スピードウェイは、入場料1000円(ゴールド運転免許900円)で
誰でも入れますので
お時間があり興味のある方は見学にどうぞ。

スタートは、午前8時!

◎静岡RCパラシューター(どっかで見たことのあるようなHPです)
http://rcp2006.web.fc2.com/

◎主催者/マッドハウス
http://www2s.biglobe.ne.jp/~madhouse/

◎富士スピードウェイ
http://www.fsw.tv/index.html


■2006/08/17 (木) 「サーキットの中心で行革を叫ぶ」

8月15日(火)K4-GP本戦は、朝5時にサーキット集合である。

3時50分に起きたら、代表からメールで針金と氷を入手するよう
指示がある。

針金は、西友で購入し、氷はお袋の喫茶店の製氷器の氷を
袋に全て詰める。
針金はクルマに、氷は飲み物を冷やすのに持って行く。
(お袋が店に来たとき、氷がないのを見て製氷器が壊れたかと思ったらしい)

5時半からドライバーズミーティングがコントロールセンター前で行われる。
前日にライセンス講習会といって走行予定のドライバー全てが受講して、
走行許可証をもらっている。
走行上の注意事項やルールの再確認などの説明を受ける。

また、司会の方が話すには、このレースには、世界や日本で活躍した
往年の名ドライバーや現役レースチームまで参加しているという。
ちなみにこの司会の方、もう一人の方と二人でこの後のレーススタート前から
10時間以上も延々と雑談も交えて実況していた。
鈴鹿8耐なども実況するらしく、
よくまぁ、こんな長時間も話し続けられるものだと感心した。

スペシャルゲストとして
この大会にご理解、ご協力をいただいている
富士スピードウェイ株式会社の顧問で
6月まで社長をしていた島田久光氏からお話しがある。

先日ヨーロッパへF1を見てきて関係者とお会いし、
来年の10月7日に日本で唯一のF1開催地として
この富士スピードウェイが選ばれたことや
F1は400〜500キロくらいしか走れないので
1000キロも走るこのレースは素晴らしいと言っていた。

コントロールタワーの左側に富士山が綺麗に頂上まで見える。
来年、このサーキットでF1が開催されると
この富士山の雄大さが世界に向けて発信されるのだ。

このK4-GPは、151台が走るが
4つのクラスに分かれている。

クラス1 グリーンクラス。(有効な車検の有るナンバー付きの車 1500cc以下)
クラス2 850ccまでの改造車
クラス3 850cc以上の改造車
クラス4 アザース:小型普通車に属する、主催が認めた車両
    (旧車等主催が認めた車両、1500cc以下 車重1トン前後)

うちのチームはクラス2で、29台が参戦した。

この151台のうち、先頭車両が10時間以内に
220周1000キロ走りきるか、
1000キロ達してなくても10時間経過した時点で終了である。

10時間で1000キロというと100km/hペースで走らないといけない。
ドライバーの交代でピットに入ったり、
給油もしないといけない。

給油は、コース外のスタンドで給油することになっている。
燃料は、トータル105リットルまでである。
最初に30L入れて、その後20Lを3回と最後に15Lと4回給油する。
給油する時間帯はだいたいどのチームも同じになってくるので、
その時間になると長蛇の列となる。
給油時間も長いと15分はかかる。

1台で走るわけでもないので何台も遅いクルマを抜いていく技術も必要だ。
だから10時間で1000キロ走るということは天候などの条件も揃って
万全の体制でないと極めて難しい。
過去には例がないと聞いた。

7時からコースインでそれぞれピットからクラス別にコースへ出る。
ピットロードから本コースへ入り一周してコントロールタワー前で停止し、
ピット側に斜めに整列する。



整列し終わったのが7時45分くらいだった。
クルマと反対側のメインスタンド側の
コース脇に仮装したチームメイトが整列する。
この大会には、仮装賞なるものもあり、
サーキットに相応しくない、奇抜な格好のスターターに
この賞が与えられる。

スターターは、スタートと同時にコース反対側に整列するクルマへダッシュし、
シールをはっつける。
ドライバーは乗車しており、張られたことを確認してスタートする。
1週目は追い越し禁止で2週目から追い越し可となる。
変速ルマン式である。

うちのチームは、ドライバー12名でプラス仮装要員&ボランティアスタッフ1名である。
スターターの仮装は、政治家経験のある女性スタッフで
スーツに「行革なくして完(官)走なし!」のタスキとノボリ、
ハンドマイクに白手袋と仮装というか本職の格好である。



スタート前にピット側フェンスから
「うちのチームはサーキットの中心で行革を叫ぶのだ!街頭演説しろ!」と叫んだけど
「はずかし〜」と
いまいちテンションが上がっていない様子だったので、
「どこの委員会にいたんだ!」
と質問。
「国土交通いいんかい〜」
と返事。
さらに
「大臣は誰だ〜」
「扇さんです〜」
「扇さんに一言いえ〜」
「長生きしてくださ〜い」
「なんじゃそりゃ〜」
と問答しているうちに8時スタート!

なんちゃって候補者は、ハイヒールにもかかわらず猛然とダッシュして、
行革仕様アルトの後部窓枠へシールをペタンコ。
こちらも元政治家の第一走者が勢いよく飛び出していった。



上空は、ヘリが低空飛行でスタートしていくクルマを追っかけ、
何度もコース上を旋回する。
何と空撮しているのである。
私たちチームは、空撮を想定して屋根にも赤い字でスズキの「S]と
「行革なくして完(官)走なし!」の文字。
目立つこと間違いない。





さて、うちのチームは12名のドライバーが
6周ごと順番に交代していくことにした。
1周4563mでおおよそ3分計算。
20分ごとに交代していく流れである。

また、自分の乗る順番の2つ前のドライバーへ
サインボードを出すことにした。

サインボードは、本コースとピットロードの間の
フェンスから出すのであるが、
伝える情報としてはカーナンバーの数字、そして周回数、
ピットインへのサインである。

二人目のドライバーの時にサインボードを出す係となり、
午前9時についに4番目のドライバーである私の順番がくる。

前日も練習走行しているのであるが、
ものすごい緊張感に襲われる。
走行会など何度か経験しているが、
それは自分のクルマでの話で、
どっかぶつけて壊したって、たいした金額のクルマじゃない。

しかし、今回のこのアルトは、12名の仲間でつなぐタスキである。
私がこのタスキを壊したら次の人は乗れないのである。

また、このクルマはスズキ株式会社さん、
横浜ゴム株式会社さんなどスポンサー各社の提供・協力を受け、
決して安くない改造費用と1ヶ月の短期間で多くの人数と
時間・手間を費やしたアルトだ。

そして何より、サーキットの中心で行革の重要性を訴える使命感と
クルマをこよなく愛する者達の熱き想いのこもったクルマである。

そのアルトを仮に他のチームのクルマがぶつかってきたりしたとはいえ、
それでレースができなくなったり、まして全損して廃車にでもなってしまったらと
考えたらとても落ち着いてハンドルなんて握れない。

とにかく決してムリはせず、安全走行。
無傷で次のドライバーに交代することだけを第一に考えピットロードをでる。
本コースに出て最初のコーナーを超低速で曲がる。
コースの幅は広く、セオリー通りなら
アウトインアウトでコーナーを攻めるのだが、
そんなことは全く関係ない。

とにかくコース中央を走り、コーナーでは減速。
後ろから迫ってくるクルマには、
できるだけ迷惑・邪魔にならないように気を配る。
だから、前を見ている時間より、
バックミラーやサイドミラーを見ている時間の方が長い。

単発で速いクルマが来たり、集団であっても直線でなら勝手に左右から抜いていくので
そんなに気を遣うこともないが、
10台近いクルマが、コーナーでちょうど重なりそうになるタイミングになると
もうパニックになりそうだ。

こっちは気を遣ってコーナーに入る前から
ゆっくり減速して走っているのに平気でぶつかりそうな勢いで
突っ込んでくる無謀なクルマがいる。

ラインどりやスピードなど全く考えず、5つも6つもあるメーターや
ラップタイムなどのデータ測定器なども一度もまともに見ることもなく、
3分以上かけて走っていた。

うちのチームのベストラップが2分36秒なので30秒以上も遅いタイムで
1回目は走った。



6周走り終えてピットに入り、ドライバーチェンジすると
もう汗びっしょりである。
レースは必ずヘルメットにツナギ、
レース用グローブを装着しなければいけない。
クルマは、もちろんエアコンなんて取り外してある。
窓も上部1/5ほど開けてあるだけだ。
ドライバーが飛びでないように
窓を開けて走ってもいけない。

私の汗は、暑さもあるけど、
あまりの緊張と恐怖心での冷や汗もかなりあった。

しかしながら、午後に入り2回目の運転の時は、
すこしずつクルマの特性も感じ始め、
1度はみんな走行した安心感と速く走りたいという欲望、
タイムを縮めることによるチームへの貢献を考えるようになり、
追い抜かれることを前提とした守りの走りから、
追い越すことを前提とした攻めの走りに変えた。

そしたら2分50秒くらいで走れるようになった。
2回目の6周の走行が終わった後は、
もっと走りたいという欲望が湧き、
レースをする面白さを
感じるまでに楽しめるようになった。



この大会は、レースに参加するみんなで作り、
盛り上げることをコンセプトにしているので
チームからボランティア要員を一人1時間出すこになっている。

うちのチームは私がボランティアをした。
内容はいろいろあるのだが、
私はスタンドで給油の際に何回目の給油か、
何リットル入れたかクルマに張り付けられた
給油シートにマジックでチェックする係となった。

11時から12時まで行ったのだが、
ちょうど各チーム給油のタイミングの時間と重なり、
スタンドの前には数十台のクルマが列をなした。

2台ずつ給油できるのだが、私はそのうちの1箇所で
給油したクルマをチェックしていった。

いろんな形をしたクルマが入ってくる。
給油口もトランクの中など、
「こんなところにあるのか!」と驚いたり、
果たしてこのクルマは何を改造したのだろうと
原型のわからないクルマもある。

2回目の運転も終わった後、
ピット内のモニターをちょくちょく見ていた。
クルマには計測器が取り付けられていて、
1周ごとにコントロールタワーを通過すると
モニターに瞬時にクラス別に順位とトップとの周回差、
ラップタイム、ベストラップタイムが反転して表示される。
29台中、上位6位は常に表示され、
7位から20位までと21位から29位までが
交互に表示される。

ラップタイムなどのデータは、
順位、カーナンバー、チーム名、車両名の後に表示される。
車両名「行革なくして完走なし」号は、
とてもピットのモニターに映し出される車両名とは
思えない名前である。

クルマが、ピットロードに入ってくると
Pの字が表示される。

8時間くらい走った時点でうちのチームは、
29台中19番でトップとの周回差は25周くらいだった。

3回目は、全員乗れるほどの時間もないので、
希望者のみで走ることにした。

私は、サインボードを出す係をした。
午後、4時を過ぎ、レースもいよいよ佳境に入ってきた。
先頭のクルマは、同じクラス2のホンダのトゥディである。
このチームは、1000キロを10時間以内のペースで走っていた。



そしてこのトゥディのチームは、
だいぶ日も傾いた午後6時前、
1000キロ220周を9時間46分10秒9でチェッカーフラッグを受けた。
10時間を切ってしまったのだ。
その後、通過した204番アルトを見送った瞬間、
みんな歓喜の声をあげた。
「やった〜」「完走した〜」と
握手したり抱き合ったりして喜んだ。

午後5時46分、レースは終了。
私たちのクルマはリタイヤすることもなく9時間46分を走り抜いた。
最終的なクラス別の順位は19番だったと思うが、
ゴールの数周前から、みんなピットロードへ飛び出し、
フェンスに張り付くように自分たちのクルマがゴールする瞬間を
待ちわびていたので、ゴール時の順位をピット内のモニターで確認していない。

まぁ、そんなことはどうでもよかった。
ゴールして1周し、メインスタンド前にクルマが停車していく。
みんなコースへ飛び出していく。
私は、まず、1位で通過したトゥディに駆け寄り、
「おめでと〜」と優勝を祝福する。
そして自分たちのクルマへ駆け寄る。

最終ドライバーと握手をして、
完走できたことの喜びをチームみんなで分かち合った。





上位入賞ではできず、仮装賞ももらえなかったけど、
素人でも参加できる草レースの醍醐味を味わうことができた。

富士スピードウェイは、体験走行などやっているので
数千円払えば、誰でも自分の車で走ることができる。
だから、本コースを走ること自体は、そんなに驚くべきことではない。

ただ、150台ものクルマが真剣勝負で走り、
ピット内のモニターで順位やラップタイムを確認したり、
サインボードを出したりする作業は、
このK4-GPだから味わえることだ。

私はクルマのことは全くわからないのであるが、
F1なんかは、よくテレビで見る。
来年、このサーキットをアロンソやシューマッハが走り、
このピットでこのモニターを見ながら、
世界最高峰のバトルが繰り広げられるかと思うと
感慨深いものがある。



表彰式終了後、パレードランでみんなクルマに乗れるだけ乗って
1周する。
もうすでに時間は7時を過ぎて真っ暗であるけれど、
完走できた喜びの余韻にひたりながら、
名残惜しみ、健闘をたたえ合いながら、それぞれのチーム同士
声を掛け合ってゆっくりと走る。



一周してきてピットロード入口には、
主催のマッドハウス代表の杉山哲氏ほか大会関係者の方々が並んで迎えてくれた。
みんな御礼の挨拶をして、感謝の気持ちをあらわした。

1ヶ月の短期間に真っ白い中古のノーマルアルトが、
戦うアルトへ改造された。
私のような運転免許もっているだけの男が
このような感動、素晴らしい体験をできたことに
ただただ感謝である。

他のチームと別な意味で特色を出していた我がチームは、
学研のクルマ関係の雑誌の取材も受けた。
ひょっとしたら紹介されるかもしれない。
レース中も全てのチームではあるけれど何度かうちのチームの紹介もされた。

「サーキットの中心で行革を叫ぶ」
「行革なくして完(官)走なし!」企画は、
まだつづく。

 

(とりあえずおわり)

(付記)
結果は、総合順位が151台中101番。
クラス別が29台中18番だった。



Copyright(C) Matsuura Shunsuke. All Rights Reserved.

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