昨日の夜は、清水町公民館で久々に「泉のまちカレッジ」へ行く。 演題は「龍の耳に生きる」。
講師は、大原秋年さんという方。 聾唖者の歴史をテーマにした映画「龍の耳に生きる」をつくることに 尽力している監督さんで、 手話を取り入れた劇団「鼓舞指座」を主宰し、 20年以上、上演してきた人である。
大原さんは、自ら手話を使い、 最初からハイテンションで1時間40分ほど 話しきった。
その中で印象に残ったことを列挙する。
○現在、聴覚障害のある方は、全国で600万人(お年寄りなど含む)。 ○聴覚障害のある方と健聴者との結婚は成功しない ケースがほとんど、しかも離婚してしまうことが多い。 ○聴覚障害の方に係る裁判が100件ほどあるが、 聴覚障害者の方が未就学のケースが多い。 ○聴覚障害者の歴史で明治時代が欠落している。 ○えびす様は耳が聞こえない。 ○天智天皇の子、建王(たけるのみこ)は、 古事記によると聾唖者。 ○大昔は体の不自由な人は尊敬されていた。 ○江戸時代、寺子屋が全国で2万箇所あったが、 障害者の方も通える寺子屋が266箇所あった。 ○幕末の志士、吉田松陰は弟(敏三郎)が聾唖者であった。 吉田松陰は欧米では聾唖者に対する教育が 進んでいることを知っており、そうしたことも 彼の原動力になったのではないかという。
以上、他にもあったけどちょっと書ききれない。 大原さんは、近年の聾唖者のドラマで役者さんから 「私は手話を覚える時間がないので、台本どおり手話をして、 それをビデオに撮ってもらえませんか」と 頼まれたという。
ドラマの内容的にも現実の聾唖者のことを投影していない とふがいない思いだったようだ。
この講演を聞いてイスラム教のことを思い出した。 イスラム教徒は、障害者の方に敬意を抱いているという。 それはアッラーが、不自由であっても生きていける人だけが 障害があるからだそうだ。
大原さんは、龍が乗り移ったかのような人だった。 以前、この日記でも書いた水野隆徳さんは 生涯学習の巨人と思ったが、 大原さんは、聾唖者と健聴者をつなぐ 超人だ。
会場には聴覚障害者の方も多数来ており、 約60人の来場者があった。
聾唖の聾は、「龍」に「耳」と書く。 龍は、耳が聞こえないらしい。
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