松浦俊介Top「議員活動・議会・町政報告」>平成18年1月22日(日)

沖縄県豊見城市・伊是名村視察報告
(新清会政務調査)



1月18日から21日まで沖縄県豊見城市(とみぐすくし)と
伊是名村(いぜなそん)へ訪問した。

豊見城市は、平成12年に女性の平均寿命が日本一(89.2歳)となる。
また、当時は村であったが、人口5万人を超え平成14年に単独で
村から市になった。

伊是名村は、沖縄本島の北方27kmの東シナ海に浮かぶ島で、
人口1800人ほどの自治体である。

去年の1月20日にこの日記で取り上げた
入村者に環境協力税として100円を徴収している村である。
http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=321783&log=20050120

去年の9月くらいに同じ会派の高木議員に相談して、
この2つの自治体を訪問することに決めた。

他の会派でも賛同していただける方がいて、
今回の視察は、
坪内昇議長、遠藤忠宏建設経済委員長、藤井道夫民生文教委員長、
高木綱志議員、佐藤芙美代議員、久保田静輝議員、岩崎高雄議員と
私の8人で訪問することになった。

まず、伊是名村から報告。

離島村である伊是名村は、定住条件の整備事業として、
国・県の支援のもと農業基盤整備事業、漁業基盤整備事業、
生活環境基盤整備事業、若者定住促進事業、環境施設の整備事業等を
積極的に推進してきた。

その結果、ハード面の整備はかなり進んだが、
起債残高(借金)が重くのしかかり、
平成14年度決算で経常収支比率が106.9%となる。

経常収支比率とは、家庭で置き換えればエンゲル係数
みたいなものだけど、
経常収支比率が100%超えている自治体は、初めて聞いた。

起債制限比率が26.6%で全国ワースト、
財政力指数は0.1%。

今までかなり苦しい自治体いろいろ見てきたけど
もっとも重症の自治体である。

伊是名村は、こうした非常に脆弱な財政力から
さまざまな行政改革を行う。

各種補助金の削減・見直し、給与の削減、各種職員手当の廃止・削減、
組織機構の簡素合理化、職員数の削減、物件費の大幅削減、
村職員や村民のボランティア作業による観光地、道路、公園などの
清掃作業などを行う。

こうした歳出削減のための努力をしても、
歳入の増加は見込めない。
毎年予算編成においては、大変苦慮している状況。

そのような中でも、村の活性化策として進めている
観光産業について、観光地や観光施設の適切な維持管理や美化は
観光客の増大を図る上から不可欠であるのだが、
それらの費用には毎年多額の費用を要している。

自主財源が乏しい中その費用の一助にしたい目的で、
伊是名村に入域する方を対象に課税する環境協力税を
平成15年5月に発案した。

それから県への条例案の照会、地元商工会への説明、
港で乗船客へのアンケート、全集落への説明会、
県とのヒヤリングを経て
平成16年12月「伊是名村環境協力税条例」が村議会で可決。

翌17年3月に総務大臣から法定外目的税の新設の同意がなされ、
4月から徴収が開始される。

この環境協力税は、伊是名村へ入域する高校生以上の者に
1人1回100円を徴収する。

課税の方法は、港で乗船切符を購入する際に一緒に徴収される。
島へ入域する高校生以上(身障者は免除)を対象にしているので
村民も本島などへ出かけて戻ってくる際も同じように徴収される。

最初は、村民を除く観光客等からのみ徴収することを目的にしていたが、
税の公平性から総務省や県との調整がつかず、
村民も含めたものとなった。

村民の反発も予想されたが、100円という金額から
住民説明会でもほとんど反対意見もなく一同賛同していただいたという。

税収の使途や積算根拠であるが、
村の観光施設や文化施設での人件費・光熱費・消耗品費・清掃費・修繕費などの
維持管理費に平成15年度実績で約800万円ほどあり、
その5割を新税で賄うこととし、
400万円を年間入域者の37,622人で割って課税額を100円とした。

4月から徴収を始め、11月までの段階で約300万円ほどの徴収され、
ほぼ計画通り税収があるという。
(翌月集計なので12月分はまだ出ていなかった)

豊見城市は、県都那覇市の南部に隣接し、
ベットタウンとして栄え、
人口52,000人、面積18.64平方kmである。

前述の通り、豊見城市は女性の平均寿命が全国トップになり、
高齢者が健康で長生きできる自治体とは
どんな取組みをしているの関心があった。

豊見城市は、平成13年度に厚生労働省の指定を受け、
「健康とみぐすく21」を策定し、
子どもから高齢者まですべてが心身ともに健康で
心豊かな充実した生活をと、具体的な目標を策定し、
実現のための方策を立てた。

2002年を計画初年度とし、2010年を目標年度とした。
その計画とは、大きく6つに大別し

○「身体活動・運動」
 ・肥満者の割合 【現状】男45.6% 女35.2%
         【2010年】男30% 女25%
 ・1日30分以上歩く人の割合 【現状】55.1%
               【2010年】70%
 など8項目

 上記の目標達成のための取組み
 ・自主サークル活動の増加
 ・移動公民館講座の充実
 ・ボランティアの育成・研修と資質向上
 ・スポーツリーダーバンクの創設
 ・総合保健福祉センターの設置
 ・ウォーキングのできる歩道の整備
 など

○「栄養・食生活」
 ・高血圧の人の割合 【現状】男13.3% 女35.9%
           【2010年】男11% 女8%
 ・高血糖の人の割合 【現状】男14.9% 女4.1%
           【2010年】男14% 女3%
 など9項目

 上記目標達成のための取組み
 ・栄養相談の開催(年35回→50回へ)
 ・食生活改善推進員の活動(年9回→24回へ)
 ・定期検診の充実(受診率38.4%→45%へ)
 など

○「休養・こころの健康」
 ・ゆとりのある生活をおくっている人の割合 【現状】43.4%
                      【2010年】50%
 ・睡眠時に薬やアルコールを使用している人の割合 【現状】11.3%
                         【2010年】減少
 など8項目

 上記目標達成のための取組み
 ・健康教育で「心」をテーマにした講座 【現状】3回
                    【2010年】充実

○「喫煙」
 ・肺ガンの年齢調整死亡率 【現状】男129 女126
              【2010年】減少
 ・喫煙率 【現状】22.6% 【2010年】減少
 ・妊婦の喫煙率 【現状】9% 【2010年】0%
 など8項目

 上記目標達成のための取組み
 ・職場での分煙(19施設32.8%→増加)
 ・禁煙モデル企業の設定
 など

○「歯の健康」
 ・歯周疾患がある人の割合 【現状】15.9% 【2010年】13%
 ・現在の歯の本数 【現状】55歳18.8本 65〜69歳16.8本
          【2010年】55歳25本 60歳24本 80歳以上20本
 など5項目

 上記目標達成のための取組み
 ・歯科の健康講演会の開催数の増加
 ・成人歯科検診、フッ化物塗布の実施数の増加
 など

○「飲酒」
 ・お酒を毎日飲む人 【現状】15.1% 【2010年】減少
 ・妊婦の飲酒率 【現状】7.8% 【2010年】0%
 ・飲酒経験のある未成年者の割合 小学6年生【現状】27.8%【2010年】0%
                 中学生3年生【現状】35.1%【2010年】0%
 など7項目

 上記目標達成のための取組み
 ・適正飲酒の健康教育
 ・学校、家庭、警察、行政、酒類取扱店のネットワークづくり
 など

さて、いい加減に豊見城市と伊是名村の視察をしての
まとめを簡単ではあるけどする。

豊見城市は、女性の平均寿命が全国トップになった
自治体であるが、老人保険被保険者の医療費が平成16年度で
約94万円(県内6位〈52自治体〉県平均86万円)となっている。

清水町が71万円で静岡県で8番目だけど
それよりまだ全然高い。

老人医療費で一番多く使っている病気は、
1位が腎不全、2位が糖尿病、3位が脳梗塞、4位が高血圧
となっている。
泡盛の飲み過ぎだろうか?

国は、21世紀の我が国をすべての国民が健やかで心豊かに生活できる
活力ある社会とするため、平成12年に第三次国民健康づくり対策として
「21世紀における国民健康づくり運動」
いわゆる(健康日本21)を定めた。

市町村レベルで「健康とみぐすく21」のように
具体的な目標数値を定め、
住民のQOL(生活の質)の向上のための施策に取り組んでいる。

静岡県でも新しい健康づくりの指針として
「しずおか健康創造21」を策定している。

地域の特性を生かしたお茶や温泉を健康づくりの
ヒントとして提唱したり、NPOなどで実践してる
地域活動を紹介している。

さて、わが町はどうだろう?
豊見城市や全国の事例を参考に、
町民が健康で文化的な生活、QOLの向上が図られる施策にについて
研究する余地が十分ある。

次に、伊是名村であるが、
環境協力税という法定外目的税を入域者全員に課すという
全国初の取組みは、当町に直接置き換えて考えることはできない。

しかしながら、柿田川の保全にここ十数年で約40億円をかけていたり、
毎年、町や町内各種団体が環境整備に努めている現状を考えると
伊是名村ほどでないにしろ、
今までのような財政運営ができない今後のことを考えて、
歳出削減案だけでなく、
伊是名村のような法定外目的税を考えることも十分検討すべきだと思う。

それと、伊是名村であるが、
この環境協力税で視察に来たのは、県外で初めてだからだろうか?
2日間に渡って大変お世話になった。
島中の施設や観光地を職員の方が案内してくれ、
帰りのフェリーに乗船していたら、
出発直前に村長さんがわざわざ港まで見送りに来てくれた。

1年前に伊是名村の環境協力税の取組みについて
インターネットで知り、
実際訪問して話を聞くことができた。

勉強しに行ったけど、ちゅら島の伊是名村にたっぷり魅せられてしまった。
天気にも大変恵まれた。

本島に向かう帰りのフェリーではデッキに出て
東シナ海に浮かぶ伊是名島を小さくなるまでずっと見ていた。

伊是名村は、トライアスロンやってんだよね。
私も参加したいところだけど、
駅伝3kmほど走って心臓パンクしそうな私が
今から肉体改造してももうダメポだな。

ちなみにスイム2km、バイク66km、ラン20kmです。
体力に自信のある人は、是非、伊是名村のトライアスロンに参加してみては?



上/豊見城市役所での研修
右から坪内昇・清水町議会議長、遠藤忠宏・建設経済委員長、藤井道夫・民生文教委員長、
高木綱志議員、久保田静輝議員、佐藤芙美代議員、岩ア高雄議員


下/伊是名村村長室にて
左から前田政義・伊是名村長、坪内昇・議長、藤井道夫・民生文教委員長



上下/もずく加工所
もずくの養殖が盛んで沖縄県有数の生産量を誇る



上下/製糖工場



上下/泡盛酒造所
泡盛になるお米を調べる藤井議員(上・右)



上/昔ながらの珊瑚の垣根

下/伊是名森林公園から珊瑚礁でできた屋那覇島を望む



上/夕日が東シナ海に沈む伊是名ビーチ

下/伊是名島


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